雇用契約書に書いてある派遣先の部分に「指揮命令者」と「派遣先責任者」があります。
これらはどういった役割を持ち、どのような違いがあるのでしょうか?
指揮命令者とは
指揮命令者は、派遣先企業で派遣社員の指導を行う係です。派遣社員は指揮命令者の指導や指示を受け業務を行います。
この指揮命令者は、指導する派遣社員と同じ部署である必要があります。
その理由は同じ業務を行っている証明となります。派遣法では、雇用契約書に記載されている業務以外を行うことは禁止されています。たとえ雇用契約書に基づいた業務を行っていても、別の部署の方の指示や指導では第三者からみて「違う業務をしているんじゃないか?」と疑いを掛けられるため、同じ部署の社員が指揮命令者となります。
派遣先責任者とは
派遣先責任者は、派遣を受け入れる企業において派遣社員に関する就業の管理を一元的に行い、企業における派遣社員の適正な就業を確保するために選任される人のことを指します。派遣先企業によっては、指揮命令者と兼任している場合もありますが、多くの企業は指揮命令者と派遣先責任者を別で設けています。
派遣先責任者になるには資格等は必要ありませんが、以下の要件を満たさなければなりません。
①労働関係法令に関する知識を持っていること。
②人事、労務管理などについて、専門的な知識を持っているか、又は相当期間の経験を積んでいること。
③派遣社員の就業に関わる事項について、一定の決定・変更を行うことができる権限をもっていること。
以上のような者から選任するよう努めることとされているので、人事や総務担当の責任者を選任する場合が多くみられます。
また派遣先責任者は、派遣社員100人に対して1人以上の派遣責任者を選任しなければなりません。
選任しなくてもいいケースは、派遣社員と派遣先企業で雇用する労働者の合計人数が5人以下の場合です。
どのタイミングで会うの?
職場見学や、初出勤の際に派遣会社の担当者から紹介されることが多いです。特に指揮命令者の方は、あなたが働く部署の直属の指導者となるため、紹介された際にはきっちりと挨拶をし、その方の名前を覚えるようにしましょう。
何かあった時はどっちに言えばいいの?
派遣社員として就業をしていると様々な問題が起きることがあります。
その場合の苦情は、派遣先責任者でも指揮命令者でもなく「苦情処理担当者」に相談しましょう。苦情処理担当者は、派遣先だけではなく派遣元にもいます。
仕事の内容での苦情=派遣先の苦情処理担当者
給料や契約に関する事の苦情=派遣会社の苦情処理担当者
と、なります。
また、指揮命令者と苦情処理担当者は兼任することができません。
それぞれの苦情処理担当者の氏名は、雇用契約書に記載されていますので確認しましょう。
まとめ
指揮命令者や派遣先責任者など、派遣に携わらないと耳にしない言葉ですが、ご理解頂けたでしょうか?
就業先では何が起こるか分かりませんので、初めて就業する際は、指揮命令者と派遣先責任者の氏名と顔は必ず覚えるようにしましょう。