今回は派遣先企業に労働局が来るときについて説明していきます。
目次
労働局が企業を訪問する理由とは?
各都道府県のある労働局が、派遣先企業を訪問する理由は2つあります。
一つは、一定期間ごとに行われる定期訪問です。
一般的には事前に電話や郵便物などで、訪問先企業の都合を配慮し、調整した上で行われるものです。
もう一つは「臨検」とも呼ばれるもので、これは労働者からの申告に基づいて行われるものです。
事前に連絡が入るケースもありますが、基本的には企業の融通はきいてくれません。
派遣先に労働局が来たらどうすればいいの?
2つの訪問理由がある
労働局の企業訪問には、2種類の内容があります。
一つは労働基準監督署が行う、主に企業での従業員の就業状況や安全衛生状況を確認するための訪問です。
もう一つは労働局の職業安定課が派遣社員を活用している企業に対して、労働者派遣事業が適切に行われているかどうかを確認するための訪問です。
つまり労働基準監督署か労働局の職業安定課が来るのかによって、内容が変わります。
労働基準監督署が訪問の場合
確認する書類は?
労働基準監督署より連絡が入った場合は一般的に以下のような書類の確認が行われます。
事前に記入漏れや不備がないかチェックしておきましょう。
・労働保険関係書類(労働保険成立届、保険料申告書、労働者死傷病報告書、社内労働災害原因分析、再発防止対策検討書、雇用保険関連書類を含む)
・事業所に勤務している従業員の賃金台帳、労働者名簿、勤怠簿
・安全衛生関連書類(安全衛生管理体制図、安全衛生管理規定、統括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者等の選任報告書、及び巡視記録)
・安全衛生委員会、安全衛生管理体制の組織図、議事録
・就業規則(労働時間規定、賃金規定等含む)
・時間外、休日労働に関する協定届(三六協定の写し、特別条項含む)
・変形労働時間制協定届(採用時)
・事業場外労働、裁量労働に関する協定届
・雇用契約書、労働条件通知書、肩入れ通知書(自社の社員分)
・有給休暇管理台帳、有給休暇申請書など
・健康診断個人票などの健康診断結果記録
確認する内容は?
労働基準監督署の調査では、主に従業員に対する賃金の適切な支払いをしているかどうか、労働時間が守られているか、安全衛生の確認などが行われます。
具体的には、割増賃金に関する事や長時間勤務、休息時間、休日休暇取得状況などの確認が行われるケースが多いです。
労働局職業安定課が訪問の場合
確認する書類は?
労働局職業安定課による訪問の場合、以下のような書類の確認が行われます。
・派遣先管理台帳(タイムカード、苦情記録を含む)
・労働者派遣契約書(個別契約書)
・労働者派遣基本契約書
・派遣通知書(派遣会社から派遣開始にあたり通知されるもの)
・派遣先から派遣元に提出する抵触通知書の控え
・抵触日に関する通知書
・派遣会社の三六協定の写し
・組織図
確認する内容は?
労働局職業安定課の確認は以下のようなものになります。
・派遣社員の実際の就業状況
・抵触日、労働者特定の有無
・契約書と実際の業務との整合性がとれているか
・年少者や外国人の派遣受け入れ状況
・苦情処理状況
・労働時間や割増賃金が適切に支払われ守られているか
日頃から適正に管理する事はもちろんのこと、不備や問題が発生しがちな項目に関しては特に注意が必要です。
まとめ
労働局や労働基準監督署が訪問するとなっても、重大な過失や陰湿な不正がなければ、そこまで心配することはなさそうです。
ですが、多種多様な書類を短期間に大量に準備する必要がありますので、日頃から事務処理や書類管理を徹底しておきましょう。