ある派遣先企業で来客があり、担当者が事務で働く派遣社員にお茶を出してくれるようにお願いしたところ、
「お茶を出すのは私の仕事ではありません。」
と、断られました。
担当者は釈然としないものの、来客には自分でお茶を出しました。
これは間違っているのは派遣先の担当者でしょうか?
それとも派遣社員でしょうか?
今回は派遣先企業の目線から、業務時間内に派遣社員に頼める範囲について説明していきます。
派遣社員の活用 こんなときはどうする?
労働者派遣事業では、契約を締結した業務の範囲を超えて派遣社員に指示を出すことは禁止されています。
したがって、お茶出しなどのいわゆる自由化業務を依頼したい場合にしても雇用契約書や就業条件明示書に明示しておく必要があります。
ここでは派遣先でよくある質問を3つ用意しましたので参考にして下さい。
派遣社員を出張させることは可能?
出張は指揮命令権の範囲内の行為であり、派遣社員を出張させることは可能です。
しかし、派遣社員を出張させる場合は特に注意が必要です。
なぜなら、就業条件として明示した就業場所と違う場所での出張になると、移動時間を含めた拘束時間が長くなったり、出張先で就業条件が異なったりするため、トラブルが発生しやすくなるためです。
注意点を以下にまとめましたので参考にして下さい。
・出張先での業務命令は派遣先企業の人間であること。
・事前に決められた業務内容以外は行わせることができない。
・現地までの交通手段、交通費、出張の目的、交通費、宿泊費の精算方法などあらかじめ派遣会社と相談する。
・移動時間は勤務時間内とするかどうかを事前に決める。
・海外に1ケ月以上出張となる場合は厚生労働省に海外派遣の申請をを行う。
派遣社員は懇親会に参加してもらえる?
派遣法上では、労働派遣契約に記載されている業務以外は、派遣社員に指示することはできず、就業時間外の懇親会などへの参加は派遣社員の自由意思を尊重することが不可欠となります。
ですので、懇親会などがある際には、まず派遣社員にさりげなく誘いの声をかけてみましょう。そのうえで強制的な参加にならないよう、本人の意思を尊重することが大切です。
派遣社員が現金を扱っても大丈夫?
トラブル防止の観点から、派遣社員には現金の取り扱いをさせない方が無難でしょ
しかしながら、部署によっては派遣社員が現金を取り扱う業務もあります。そうした場合には、万が一事故が起きた場合の取り決めを派遣会社と事前に決めておきましょう。
なお、現金・有価証券を問わず高額になる業務は、トラブルが発生した場合、派遣会社と覚書を取り交わしていたとしても、大きな問題となりますので注意してください。
まとめ
派遣先でのよくある質問を取り上げましたが、他にも派遣社員の活用について分からない場面は多々出てきます。
そんな時は、迷わず派遣会社の担当者に相談しましょう。