最近、毎日のようにニュースで流れてくる外国人労働者の制度の話。
「特定技能」という新しい制度ができたみたいですが、ご存知でしょうか?
また、技能実習制度との違いは何でしょうか?
今回は2019年に急加速していくであろう新しい在留資格「特定技能」について説明していきます。
目次
特定技能ってどんな制度?
平成30年6月15日、政府は中小企業や小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化から、一定の専門性や技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる為、就労を目的とした新たな在留資格を創設しました。
それが特定技能となります。
特定技能制度は2019年4月から始まり、これまでは一部の例外を除いて外国人が働くことの出来なかった建設業、造船業、宿泊業などで働く事が可能となります。
特定技能の外国人労働者の契約は、原則として直接雇用となりますが、分野の特性に応じて派遣での就業も可能となっています。
受け入れる予定の国は?
日本が特定技能として受け入れる国は、当面のところ以下の9か国となっています。
- ベトナム
- フィリピン
- カンボジア
- インドネシア
- タイ
- ミャンマー
- ネパール
- 中国
- モンゴル
特定技能には1号と2号がある
特定技能には1号と2号の2種類の在留資格がありますが、特定技能2号は制度開始後数年間は受け入れは行わない方針とされています。
特定技能2号は2021年度から試験を始める予定となっています。
特定技能1号と比べて、受け入れ分野で熟練した技能を有する事が条件となり、資格取得の条件が厳しい分、在留期間の更新や永住権の申請、家族の帯同も可能となることが検討されています。
特定技能1号の対象となる業種は?
特定技能1号は以下の14業種が対象となります。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電子・電気機器関連産業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能2号の対象となる業種は?
特定技能2号は、長期の在留や家族の帯同が認められる事が検討されているので、1号と比べるとより厳格な運用が必要と考えられており、業種も特定技能1号から5つに絞られています。
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
特定技能1号の在留期間は?
特定技能1号は最長で5年間の就労が認められています。
家族は連れてこれるの?
特定技能1号は、その家族が日本で一緒に住むための在留資格である「家族滞在」は取得する事ができません。
特定技能2号については家族の帯同について認められる方向で、政府が検討しています。
また、ここでいう家族とは、配偶者と子どもの事を意味し、親や兄弟姉妹は含まれません。
特定技能と技能実習との違いは?
技能実習制度の目的が、日本の技能や技術、知識を開発途上地域の経済発展に役立てるものであることに対し、特定技能は外国人労働者としての在留資格となっており、即戦力としての労働力が求められます。
そもそも、技能実習制度では労働力を期待してはいけません。
技能実習制度はあくまでも、国際貢献が目的です。
つまり、技能実習制度ではレストランの配膳のような単純労働は認められていませんでしたが、特定技能では認められた分野であれば単純労働での就業も可能となります。
特定技能の資格はどうやってとるの?
外国人が特定技能の資格を取得する為には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 技能実習を修了する
- 特定技能評価試験に合格する
技能実習を修了しているか、特定技能評価試験に合格すれば特定技能の在留資格を取得する事ができます。
特定技能評価試験の内容は、「日本語の試験」と「分野別による技能の試験」が行われます。
試験の開始時期と今後5年間の受け入れ見込み数
特定技能1号で、今後5年間の受け入れ見込み数と試験の開始時期、従事する主な業務内容を業種別に一覧にしましたので参考にして下さい。
【特定技能1号】
業種 | 新設する試験の開始時期 | 今後5年間の最大受け入れ見込み数 | 従事する主な業務 |
介護 | 2019年4月 | 60,000人 | 身体介護等(訪問系サービスは対象外) |
ビルクリーニング | 2019年秋以降 | 37,000人 | 建築物内部の清掃 |
素形材産業 | 2019年度内 | 21,500人 | 金属プレス、鍛造等 |
産業機械製造業 | 2019年度内 | 5,250人 | 溶接、プラスチック成形等 |
電気情報関連産業 | 2019年度内 | 4700人 | 電子機器組み立て等 |
建設 | 2019年度内 | 40,000人 | 型枠施工、左官、建設機械施工等 |
造船・舶用工業 | 2019年度内 | 13,000人 | 溶接、塗装、鉄工、機械加工等 |
自動車整備 | 2019年度内 | 7,000人 | 自動車の日常点検整備、定期点検整備 |
航空 | 2019年度内 | 2,200人 | 空港グランドハンドリング、航空機整備 |
宿泊 | 2019年4月 | 22,000人 | フロント、企画、広報、接客サービス等 |
農業 | 2019年度内 | 36,500人 | 耕種農業全般、畜産農業全般 |
漁業 | 2019年度内 | 9,000人 | 漁業全般、養殖業全般 |
飲食料品製造 | 2019年10月 | 34,000人 | 飲料品(酒類を除く)の製造、加工 |
外食業 | 2019年4月 | 53,000人 | 飲食物調理、接客業全般 |
まとめ
日本での少子高齢化による労働人口の減少は、外国人の労働力に頼らなくてはならない時代となりました。
外国人が増える事により治安の悪化や、企業機密の流出を懸念している方もいますが、文化の違いや異国の地での就業に不安を感じる外国人に対して差別はいけません。
実質的な移民制度と捉える方もいる、この特定技能制度。
本格的な運用が始まる2019年は、日本人にとっても働く環境やルールがガラリと変わるかもしれませんね。