派遣社員で働いていて、病気やケガで仕事ができず休まなければならない時。
休業により収入が無くなり、生活ができなくなるんじゃないかと不安になりましょよね。
そんな時に、時々耳にする傷病手当金の話。
この傷病手当金は、派遣社員の立場でも受給する事は可能でしょうか?
また、受給する条件や金額、振り込まれるタイミングも気になりますよね。
そこで今回は派遣社員が傷病手当金をもらう方法について説明していきます。
目次
傷病手当金とは?派遣社員も貰えるの?
傷病手当金とは、健康保険の加入者が病気やケガ等で休業している間に、十分な給料が支払われない場合のみ、被保険者とその家族の生活を保障する為に設けられた制度となります。
また、傷病手当金は健康保険協会、健康保険組合、共済組合から支給される給付となりますので、これらの健康保険に加入していれば派遣社員も受給の対象となります。
傷病手当金はいくらもらえるの?
傷病手当金の1日あたりの支給金額を計算する場合、1年以上(12ヵ月間)の給与支払いがあったかどうかで計算方法が変わってきます。
簡単にいいますと、給料の平均の3分の2の金額が支給されますが、下記に計算式を記載しましたので参考にして下さい。
働いている期間が12ヵ月間以上の場合の計算式
傷病手当金の支給金額は、「支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額」が1日あたりの金額となります。
例えば、支給開始日以前12か月間の給料の標準月額が26万円を2ヵ月間、30万円を10ヵ月間といった派遣社員の場合、計算式に当てはめると
(26万×2ヵ月+30万円×10ヵ月)÷12ヶ月÷30日×3分の2=6,520円
となり、1日の支給金額は6,520円となります。
働いている期間が12ヵ月間未満の場合の計算式
支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、以下の2つを比べて少ない方の額を計算します。
- 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
- 当該年度の前年度における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額
傷病手当金をもらえる期間は?
傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日を起算日として最長で1年6ヵ月間となります。(支給を開始した日とは、一番最初に傷病手当金が給付された日のことです。)
例えば、2019年2月1日から傷病手当金の支給を開始した場合、2020年の7月31日までが最長期間となります。
ここで注意したいのが、傷病手当金はどんなケースでも1年6ヶ月分を支給されるわけではなく、支給期間内に仕事に復帰した場合はその期間も1年6か月内に算入され、その後同じ病気やケガで休んだ場合も、1年6か月内とみなされます。
また、支給開始後1年6か月を超えた場合、仕事に復帰できない場合であっても傷病手当金は支給されないので覚えておきましょう。
傷病手当金を受給する為の条件とは?
傷病手当金を受けとるための条件は、以下の条件全てに該当することになります。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
傷病手当金の申請方法は?
傷病手当金の申請には、休業中に給与の支払いが無い事を雇用元である派遣会社に証明してもらう必要があります。
またそれと同時に、仕事が出来ない状態にある証明も主治医にしてもらう必要があります。
どちらの証明も既定の申請書類に記入してもらう形となりますので、あらかじめ準備するようにしましょう。
申請書類は、自身の加入する健康保険のホームページでダウンロードするか、派遣会社の担当者に相談してもらうようにしましょう。
傷病手当金が振り込まれるのはいつ?
傷病手当金が口座に振り込まれるタイミングは、申請書類を提出してから平均して1ヵ月後となります。
すぐに支給されるものでもありませんので、支給されるまでの期間の分の生活費や治療費は残しておきましょう。
傷病手当金の支給が停止する場合とは
以下に当てはまる場合は、傷病手当金の支給額の一部または全額が支給されなくなりますので注意が必要です。
また、傷病手当金の支給が終わった後に以下のケースの該当していた事が発覚した場合は、傷病手当金を返納することになります。
給与の支払いがあった場合
休業期間中に給与の支払いがある場合は、傷病手当金は支給されません。
ただし、休業中に給与の支払いがあってもその給与の金額が、傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。
障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
同一の傷病などで、厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を支給されている場合は、傷病手当金は支給されません。
ただし、障害厚生年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
老齢退職年金を受けている場合
健康保険の資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている人が、老齢退職年金を受けている場合は、傷病手当金は支給されません。
ただし、老齢退職年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
労災保険から休業補償給付を受けている場合
業務外の理由による病気やケガで労務不能となった場合でも、別の原因で労災保険から休業補償給付を受けている期間中は、傷病手当金は支給されません。
ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
出産手当金を同時に受けられる時
傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給する事となります。
傷病手当金の注意点とは?
傷病手当金を給付中に仕事を辞めた場合
資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる条件を満たしていれば、資格喪失後も引き続き傷病手当金の支給を受けることが可能です。
ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合は、その後更に仕事に就くことが出来ない状態になっても、傷病手当金は支給されませんので注意しましょう。
まとめ
傷病手当金は健康保険に加入していれば、申請さえすれば比較的簡単に貰える制度となります。
病気やケガ等で休業せざる負えない場合は、傷病手当金を受給する事で収入に関する不安を緩和することができますので、ぜひ活用するようにしましょう。