「派遣社員って有給はあるの?」
「正社員と同じように有給がとれるのかな?」
「派遣社員の場合、有給を取りたい時はどこに申請すればいいのだろう?」
派遣社員で働こうと考えているあなたも、このような疑問をもったことはありませんか?
正社員と比べると待遇が異なる部分も少なくない派遣社員ですが、有給休暇は派遣社員でもきちんと取得できる労働者の正当な権利です。
そこで今回は、派遣社員を考えているあなたに絶対に知っていてほしい有給休暇制度の基礎知識についてみていきましょう。
目次
有給休暇とはどんな制度?
有給休暇とは、雇用形態問わず、労働基準法第39条で定められた労働者の正当な権利です。
労働者が労働の義務がない日(企業によって定められている休日)以外に、ある程度まとまった日数を労働から解放し、これを有給とすることで身体、並びに精神的にも十分な休養がとれるよう法律が保障した休暇です。
そのため、雇用元企業が従業員に対し有給休暇を給付しない、有給休暇の取得の拒否をする、などを行った場合は労働基準法違反になります。
違反をすると、企業は労働基準法第119条により6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則が科せられます。
有給休暇の取得条件とは?
有給休暇は、法律によって定められた一定の期間勤続した労働者に与えられる休暇のことです。
有給休暇が付与され取得できる条件は2つあります。
- 雇い入れ当日から6ヶ月が経過していること
- 6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤していること
以上の条件を満たすと有給休暇が付与されます。
その後、1年ごとに定められた日数が付与されます。付与される日数は、フルタイム労働者(1日8時間 週40時間の常勤勤務)と、パートタイム労働者(週40時間より短い非常勤勤務)で異なります。
パートタイム労働者に関しては、週に30時間未満・週に4日以下または1年に48日~216日働いている場合、有給休暇を付与されます。
有給休暇の有効期限はいつまで?
一度付与された有給休暇は無限に保有できるわけではありません。
有給休暇には取得後2年間という有効期限があります。
この2年間の有効期限内に有給休暇を消化できなかった場合は消滅します。シンプルに言うと、2年間使わなかった有給休暇はそのままなくなってしまうということです。
「もうすぐ有効期限がきれてしまう!」
と、有効期限直前に焦って一気に取得しようとしてもすべて消化できなくなる可能性もあります。
例えば、職場の多忙時期と重なる場合や、企業によって取得の際1カ月前に申請が必要、一度の有給で何日までしか取得できない、などといった業務上の問題がおこってしまうこともあるためです。
派遣社員にも有給休暇はあるの?
有給休暇は法律によって定められた労働者に与えられている正当な権利です。
正社員でも派遣社員でも同じ労働者に変わりはありません。
雇用形態に関係なく、条件を満たしていれば有給休暇を取得することができます。
しかし、正社員などの直接雇用と派遣社員では異なる部分があります。
それは、有給休暇がどこから付与されるかという部分です。
正社員など直接雇用の労働者と同じ企業や職場に勤めていても、派遣社員の雇用元は派遣先企業ではなく派遣会社になります。
そのため派遣社員の有給休暇は派遣会社から付与されます。
また付与されるのは、直接雇用の場合と同様、雇い入れ当日から数えて6ヶ月が経過したタイミングです。
派遣社員の有給にまつわる様々な疑問
派遣社員にも有給はあることが分かりましたが、まだ気になることや、分からないこと、疑問をお持ちだと思います。
派遣社員の有給休暇といっても、実際には正社員など直接雇用と大きな代わりはありません。
ですが、有給休暇の申請方法など異なるところもあります。
そこの部分も含め実際によく質問される内容をみていきましょう。
有給休暇取得の流れはどうなるの?
先ほど上記の中でお伝えしたように、派遣社員の有給休暇は派遣元である派遣会社から付与されます。そのため取得の際は派遣会社に申請します。
また、取得方法は派遣会社によって異なるので注意して確認しておきましょう。
【例】一般的な派遣社員の有給休暇取得の手順
- 派遣会社に有給休暇を取得したい旨を連絡する。
- 派遣会社から派遣先企業に有給休暇取得の希望があった旨を伝えてもらう。
- 派遣先企業と有給休暇取得の日程など調整を行う。
- 有給休暇取得。
このような流れとなっています。正社員など直接雇用の労働者と同じ職場や企業に勤めていても、派遣社員はまず派遣会社に申請することを覚えておきましょう。
また派遣会社によっては②の部分から派遣社員自身で行う場合もあります。
詳しくは派遣会社の担当者に確認してみてくださいね。
有給休暇取得の時期やタイミングはあるの?
派遣会社によっては有給休暇を取得する際に、1カ月前には申請が必要、一度の取得で何日までといった上限がある、など細かいルールを設けているところもあるため、「有給休暇を取得したいな」と検討している段階から、早めに日程など詳細確認や相談することをおすすめします。
また、派遣会社や派遣先企業によっても異なりますが、「繁忙期や多忙時期などで有給休暇はなるべくとらないでほしい」と言われる場合もありますので注意が必要です。
企業によっては業務が忙しくなる時期が決まっています。
その時期に多くの社員から有給休暇の申請があり、取得されてしまった場合、業務に支障が出てくる場合があるため、企業には『時季変更権』といった会社の業務が滞りなく円滑に進められるようにするための権利が設けられているからです。
その中でも繁忙期や多忙時期にやむを得ず、有給休暇の申請をする必要がある場合もあるかもしれませんよね。
そんな場合には早い段階で相談をしてなるべく企業や業務にや支障がでないよう配慮することも大切です。
有給休暇の取得理由は必要?
有給休暇は、労働者に与えられた正当な権利なので取得理由も労働者個人の自由です。
有給休暇を申請する際に書類の提出が必要な場合もありますが、理由を記入する欄があったとしても『私用』と記入するだけで問題ありません。
「冠婚葬祭のような明確な理由がないと申請しにくい。」
「きちんとした理由じゃないと有給を取ったらいけないのかな?」
などと、気にしてはいませんか?
有給休暇で休むことに対してそのように感じている方も多いのですが、気にする必要は全くありません。
有給休暇の取得は個人の自由ですので、派遣会社や派遣先企業に取得理由を伝える必要もありません。
派遣先が変わると有給休暇のカウントもリセットされる?
派遣社員は最初にあらかじめ就業期間が決まっている雇用形態です。
例えば以下のような場合はどうなってしまうのでしょうか?
- 有給休暇が残っているのに契約期間の満期を迎えてしまう。
- 派遣先企業の都合によって思わぬタイミングで契約終了になってしまう。
このような場合、契約期間内に有給休暇を消化させてくれる派遣先であれば、なんの問題もないのですが、会社や業務の都合上そうはいかないこともあります。
しかし、同じ雇用元の派遣会社から新しく別の派遣先企業に勤務する予定があれば、有給休暇のカウントがリセットされることはありません。
なぜなら、実際勤務する派遣先企業が変わったとしても、雇用元の派遣会社は変わっていないからです。
ただし、新しい派遣先が決まるまで全く勤務をせず、1カ月空白期間がある場合に関しては、付与された有給休暇のカウントがリセットされるので注意しましょう。
そして契約満了の時期が近づいてきたら、早めに計画を行い次の就業場所を見つけられるようにしていきましょう。
まとめ
この記事では派遣社員の有給休暇、並びに有給休暇の基礎知識についてお伝えしてきました。
法律によって定められ、権利として与えられている有給休暇ですが、実際のところは取得の実態に関してあまりよくはありません。
正社員として働いているいる人ですら、実際に有給休暇を取得しているのは付与されている日数の半分 約50%程度だともいわれています。
派遣社員の場合だと、これよりさらに低い数値とも言われています。
また派遣社員の場合は有給休暇の取得しやすさは派遣先の会社や企業によって異なることも多いです。有給休暇は法律によって定められている労働者の権利です。
有給休暇について入社時のオリエンテーション、または派遣会社の担当者にきちんと確認しておくことがとても大切です。
また、やむを得ない場合を除いて、急な有給休暇の取得は企業や職場の業務に支障をきたすことや、周りに迷惑かけてしまう可能性もあります。
有給休暇申請を行う際は必ず前もって行うようにしましょう。